眼瞼下垂症
新潟市中央区女池上山2―8―28
RIKA皮膚科・形成外科クリニック
院長 齋藤利香
近年、眼瞼下垂症手術の普及は目覚ましいものがあります。眼瞼は顔貌の中で目立ちやすいところであり、手術には機能的な改善のみでなく整容的改善も強く求められます。
眼瞼下垂症は、まぶたが重く垂れさがり、正面視で瞳孔にかぶさる状態のことをいいます。眼を開けるために無意識に眉あるいは顎を拳上しようとするため、頭痛や肩こり、眼精疲労などを併発することもあります。
先天性のものは眼瞼挙筋(まぶたを開ける筋肉)の形成不全でおこります。片側性のものが多いですが、両側性もみられます。後天性では、加齢により徐々に起こるものやコンタクトレンズ(特にハードコンタクトレンズ)の長期装用者、アトピーや花粉症でまぶたを擦る習慣がある人におこることがあります。中には、重症筋無力症や動眼神経麻痺などの疾患によるものもあります。最も多い加齢による眼瞼下垂症は、多かれ少なかれ誰にもおこりうるものですので、身近な疾患とも言えます。
治療方法としては、上眼瞼の皮膚をまぶたにそって切開し、まぶたを開ける筋肉である眼瞼挙筋と連続している挙筋腱膜をさがします。のびきった挙筋腱膜を短くして上まぶたの支持組織である瞼板
に再度縫い付けます。これを挙筋前転術といいます。現在最も多く行われている方法です。術後の内出血や腫れが完全に落ち着くには1ヶ月程度かかります。
眼瞼挙筋の機能がほとんどなく、上眼瞼を開けられない場合は、前頭筋というおでこの筋肉を利用して上まぶたを拳上します。具体的には、太ももの筋膜を前頭筋と上まぶたの間に移植します。
2016年2月