医療コラム

大人の発達障害②

大人の発達障害②

新潟市中央区湖南21ー5(新潟市民病院前)  
新潟こころの発達クリニック 院長 遠藤太郎
日本精神神経学会専門医・精神保健指定医


 注意欠如・多動性障害(ADHD)で、成人期になってから見えてくる問題としては、「誤字脱字などケアレスミスが目立つ」、「大事な書類を忘れたり、無くしてしまったりする」、「机の上がいつも散らかっていて、必要な物が見つからない」、「計画的に仕事をやり遂げることが出来なかったり、色々なことに手を付けてしまい、いずれも中途半端になってしまう」、「転職を繰り返し、一つの仕事が続けられない」などの問題が挙げられます。

 前号で記述した自閉症スペクトラム障害の場合の問題や、これらの問題のため、仕事が続けられ
なかったり、社会生活上様々なストレスを抱えてしまったりして、二次的にうつ状態を呈して受診される方も珍しくありません。自閉症スペクトラム障害の方では、「コツコツとまじめに仕事をきちんとやり遂げる」、ADHDの方では、「活動性が高く、発想が豊かである」などの、優れた特性を持っている方も多く、ご本人の特性にうまくマッチした環境が整えば、「障害」として問題が顕在化しないこともあります。

 これらの問題が疑われる場合は、専門のクリニックや市や県の発達障害支援センターなどで専門的な立場からの助言を受け、特性に応じた環境調整を行っていくことが、障害を持ったご本人、特
性を抱えた方を受け入れる職場の双方のために望まれます。