医療コラム

震災を振り返って - ①

震災を振り返って - ①

有限会社ケンユウ 佐藤陽一
日本薬剤師会 認定薬剤師 認定実務実習指導薬剤師

 

 

まもなく、東日本大震災の発生から2年になろうとしています。
テレビの衝撃映像では、津波の映像を何度か見たことがありましたが、実際に日本であれ程大きな津波がくるとは夢にも思いませんでした。
私にできることはないか・・・いてもたってもいられず、震災から約2ヶ月が経過した5月、医療ボランティア(薬剤師)として宮城県石巻市に入りました。
石巻市は、津波により沿岸部はほぼ壊滅的にダメージを負った地域です。
私が石巻市に入った頃には、報道も津波被害より原発に移行していったため、津波被害の方は少し落ち着いてきたのかと思っていました。
しかし、石巻に入って移動の車中で驚いたことは、道路脇には泥、壊れた車、家のがれきが山のように大量に残っていたことです。

 


 

空気には潮の匂い以外に、津波による別の被害を連想させるものも混ざっていて、本当に胸の詰まる思いでした。
私が訪ねた石巻市立門脇中学校の体育館には、二百人以上の避難者が一緒に生活していました。
体育館に差し込む光で、ホコリが舞いあがっているのが見えました。
「換気すれば?」、そう思いましたが、外気にはダストなどが混じっており、危険なので窓は開けないように指導していると聞かされました。
また、段ボールの仕切りだけで、プライバシーもなく、環境は想像していた以上に劣悪なものでした。

(次号へつづく)