気管支喘息とスポーツ
本町通6アーケード内ぷらっと本町ビル3階
本町いとう内科クリニック 院長 伊藤 実
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医
気管支喘息というと、ゼーゼーという発作を起こし、夜中でも病院に行って治療を受け、運動はあまりできないという虚弱なイメージがあるのではないでしょうか。
確かに、喘息患者さんの中には、運動をすることにより喘息発作を起こしてしまう方がいます。しかし、しっかり治療すればスポーツは十分可能であり、喘息であるからこそ、気管支を鍛え、発作を起こしにくくするためにスポーツを始める方もいます。
気管支喘息の治療をしながら競技を続け、オリンピック出場を果たした選手も多く、スピードスケートで金メダルを獲得した清水宏保選手もその1人です。
一方、突然の大発作で息ができなくなり、窒息死する人は、以前に比べて大幅に減少したとはいえ、まだ大勢いるのも事実です。これは、若い人や、しばらく喘息発作がなく安定していた方でも起きています。知っている人が喘息発作のため突然亡くなった、という経験のある方もいらっしゃると思います。ほとんどはきちんと治療していれば防げたと思われるため、病状が軽くても油断せずきちんと治療することが重要です。
喘息発作には、以前から気管支拡張剤の吸入や点滴が行われており、これでおさまることが多いのですが、気管支喘息の病気の本質は気管支の炎症であり、これを抑えることが重要であることが分かってきました。発作時には炎症を抑えるためにステロイド剤を点滴や内服薬で使用しますが、この薬は副作用の問題があるため、普段は長期に使用しても副作用の心配のないステロイド吸入薬を使用します。ステロイド吸入薬が普及するにつれ、喘息発作で救急外来を受診したり喘息死の患者さんが少なくなってきています。
現在、喘息治療の目標は、全く症状がなく、日常生活や仕事、スポーツも健常人と変わらずできるようにすること、となっており、治療の進歩と共にそれが可能となっています。喘息の原因は、家のほこりの中に含まれるハウスダストやダニ、ペット、食べ物、職場環境など様々です。
喘息で悩まれている方は一度、呼吸器専門医の受診をお勧めします。