スウェーデンからの贈り物 ~タクティールケア③~
医療法人新成医会
総合リハビリテーションセンター みどり病院
JSCIシルヴィアホーム
認知症緩和ケア・介護教育研修センター
インストラクター リーダー 木本明恵
タクティールケアがもたらしてくれるものに、「安心のホルモン“オキシトシン”が分泌する」「痛みを和らげてくれるゲートコントロール」の2つがあると考えられています。
オキシトシンは、脳の視床下部で作られ、それが下垂体後葉を通って血液の中に溢れ出します。
血液の中に溢れ出したオキシトシンはホルモンとなって、身体のいろいろな器官に届けられます。
このホルモンの働きはいろいろありますが、そのひとつが安心や穏やかな気分をもたらします。
オキシトシンは、皮膚を優しく撫でたり、さすることにより、分泌することがいろいろな研究でわかっています。
ゲートコントロールとは、触覚や圧覚が痛覚を抑制するメカニズムに関する学説です。脊髄には痛みを脳に伝えるゲートがあります。
ゲートが開いていれば痛みを脳に伝え、痛みを感じます。
反対に、閉じていれば痛みを脳に伝えることはできません。
ゲートは気分の良いときや、安心しているときには閉じていますが、不安なときや悲しいときには開いているので、痛みを感じます。
まさに「痛いの痛いの飛んでけー!」は、ゲートコントロールということが言えます。
タクティールケアを行なうことで、安心や穏やかな気分になって痛みを和らげることができます。
これこそ介護・看護の中でよく言われる「手当て」ではないでしょうか。
(注) 「タクティール」はJSCI日本スウェーデン福祉研究所の登録商標です。
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2012年4月