スウェーデンからの贈り物
~タクティールケア①~
医療法人新成医会
総合リハビリテーションセンター みどり病院
JSCIシルヴィアホーム
認知症緩和ケア・介護教育研修センター
インストラクター リーダー 木本明
手は、私たちに多くのことを伝えてくれます。「熱い」「冷たい」「やわらかい」「硬い」など、さまざまなことを手で知ることができます。
子どもの頃、高い熱を出し辛いとき、母は私の額に手を置いてくれました。母の手は冷たく、その手の冷たさが心地よかったことを覚えています。具合を確かめるために額に置いた母の手が、私には心地よさと安心として伝わりました。この心地よさと安心を、肌と肌との触れ合いを通して伝えるのがタクティールケアです。
初めてタクティールケアを学んだとき、そして今インストラクターとして各地で指導をしているとき、私は母の少しゴツゴツした手を思い出します。それはとても懐かしく、母から本当に深い愛情をもらったと感じています。そもそもタクティールとは、ラテン語の「タクティリス(Taktilis)」に由来する言葉で、「触れる」という意味があります。その意味が示すように、手を使って10分間程度、相手の背中や手足を「押す」のではなく、「やわらかく包み込むように触れる」のがタクティールケアです。
このケアは、手の持つ力を再認識させてくれます。そして誰にでもできるとても身近なケアです。今、このケアが医療、福祉の現場で広がり始めています。もちろん新潟市内でも取り入れている施設があります。
そのひとつが医療法人新成医会総合リハビリテーションセンターみどり病院です。みどり病院では、主に認知症の方のケアの中で、タクティールケアを活用しています。
次回からタクティールケアについて、より具体的に紹介していきたいと思います。
(注) 「タクティール」はJSCI日本ス ウェーデン福祉研究所の商標登録です。
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