医療コラム

しみ・しわ治療の落とし穴—②

しみ・しわ治療の落とし穴—②

本町6アーケード内 ぷらっと本町ビル2階
本町皮膚科 院長 渡辺力夫
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

 

前回は「しみ治療施術前・施術後の画像・写真」に注意しなければならないことを述べました。今回と次回は「その“しみ”治療は本当に正しいのか」「レーザー等が無効な“しみ”に施術し続けているために、何度も通院し、高額な施術費を払うはめになっているのではないか」ということに触れてみたいと思います。

 

「しみ」は以下に大別されます。黒色調のものに、母斑細胞母斑(通称「ほくろ」;以下同様)・老人性色素斑(しみ)・悪性黒色腫(ほくろの癌)・基底細胞癌などがあります。褐色調のものに雀卵斑(そばかす)・肝斑(しみ)・扁平母斑(あざ)など、黒褐色調のものに扁平な脂漏性角化症など、青色調のものに太田母斑(青あざ)・青色母斑などがあります。よく見る「しみ」・注意が必要な「しみ」を簡単に挙げただけでも多数ありますので、診断には十分に注意しなければなりません。

 

「しみ」の6割程度は、老人性色素斑であるとされています。境界明瞭で類円形の「しみ」であり、中年以後の顔や手背などの露出部に多く見られます。Qスイッチレーザーを1回照射しただけで、ほぼ完全に消失する場合も多いです。ただし、IPL(アイピーエル)などと呼ばれる光発生装置はレーザーとは異なります。レーザーより照射エネルギーが低いために、治療効果は不十分となりますので、結果として何度も照射を受けなければなりません。その分、費用がかかります。そばかす(雀卵斑)にもQスイッチレーザーが有効であり、1回の照射にて、ほとんどが消失します。「しみ」の中でも、肝斑にはレーザーが無効です。肝斑が太田母斑と誤診されていることも多々ありますが、その場合には見かけ上、レー
ザーが有効となります。

 

「しみ」は診断名ではありません。様々な色素性皮膚病変の総称です。レーザー治療が無効な「しみ」、むしろ施行しないほうが良い「しみ」も多数含まれているのです。ダラダラと高額な費用を払い続けている場合などには、十分な注意が必要です。次回は、「しみ」の診断とレーザー治療について、もう少し詳しく述べてみたいと思います。

 

本町皮膚科ホームページ:http://www.honcho-hifuka.com/