医療コラム

「歯周病が治らないな」と思ったら

「歯周病が治らないな」と思ったら

 本町6アーケード内ぷらっと本町ビル1階
        本町みゆき歯科 院長 佐藤三幸
        歯学博士

 

私ども歯科医師の仕事は、「残存組織の保全」と「機能回復率の向上の両立」です。すなわち現在のお口の歯、歯肉、骨など現状組織を長く維持していくことと、咀嚼(食べる)機能、嚥下(飲み込む)機能、呼吸機能、発音機能、姿勢維持、審美など諸機能を回復するとともに向上させることであります。特に「残存組織の保全」には“力のコントロール”と“細菌のコントロール”が大きく関与します。今回は、国民の8割に発症しているといわれる歯周病について、この2つのポイントについて解説したいと思います。
歯周病も一般の病気と同じように早期発見、早期治療が大切です。

 

歯科医院ではどの程度歯周病が進んでいるのかなどを検査によって把握し、治療計画を立てます。そして個人個人にあった歯磨きの方法を覚えていただき、実行することでお口の中全体の細菌数を減らす努力をして頂きます。さらに生活習慣も治療に影響するため、喫煙や疾病などを含めた生活習慣についても指導致します。患者さんと歯科医師と歯科衛生士の三者の協力がないと歯周病は治りません。
次に歯周病の原因の1つである「細菌のコントロール」をするため、歯肉のポケットに溜まったプラーク、歯石そして細菌感染した組織を専用の器具を用いて取り除きます。


この時点でどの程度改善したかをチェックしますが、悪い部分についてはさらに歯周外科治療を行うこともあります。最終的に炎症が治まり、引き締まった歯肉になったら治療は終了です。しかし、歯周病は再発しやすい病気です。油断するとまた元に逆戻りです。治療が終わっても定期的に検診を受けて再発を予防することが望ましいと思います。


しかし、なかなか改善しないこともあります。その原因には、喫煙や糖尿病など先に述べた生活習慣も大きく関係します。そしてもう1つ、夜間ブラキシズム(歯ぎしり)が影響していることが多くあります。歯周病に罹患し、炎症が周囲組織に波及しているところにブラキシズムによるメカニカルストレスが加わると、炎症は急速に進行し骨吸収を引き起こします。この場合には「力のコントロール」のため噛み合わせを調整したり、マウスガードを夜間装着して過剰な力が歯に加わらないようにします。 

 

歯周病は再発しやすい疾患で、しかも生活習慣とも大きくかかわる病気です。「細菌のコントロール」と「力のコントロール」を行いながら、定期検査を受けて常に良好な環境を維持できるよう、歯科医院を受診することをお勧め致します。