歯の健康ついて
(一社)新潟県労働衛生医学協会
健康づくり推進部 保健師 宗村 綾香
歯は、食べ物をかみ砕き消化を助けるとともに、発音や表情などコミュニケーションを円滑におこなうなどの大切な働きをしています。
今回は、歯や口腔の健康を保つポイントについてご紹介します。
1.歯の本数と健康寿命
私たちの歯(永久歯)は、親しらずを除き全部で28本あります。しかし、国の調査によると、高齢になるほど歯を失う人が多くなり、75歳以上の方では本来の半数以上が失われている状況です。
一方で、歯の喪失が少ない高齢者は“食べる”〝話す”といった機能が保たれることで、その人らしく生活できる期間(健康寿命)が長くなる傾向にあります。歯を失わないに越したことはありませんが、20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることがわかっています。
2.歯を失う原因
歯を失う原因の80%以上は、むし歯と歯周病であると言われています。むし歯は、歯の表面のプラーク(歯垢)に存在する細菌が増殖し、糖質をもとに作り出す酸が歯を溶かすことで生じます。
歯周病は、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)へ、プラークや歯石の細菌が侵入し、歯肉を炎症させ、歯を支える骨を溶かしてグラグラにする病気です。多くは気づかないうちに進行し、歯肉からの出血などが起こった後、歯が自然に抜け落ちるほど重症化することもあります。
3.むし歯と歯周病を予防するために
①むし歯と歯周病の予防には、フッ素化合物が有効です。フッ素化合物を含む液体や塗り薬、歯磨き粉をお勧めします。また、歯ブラシによる清掃に加えて、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間部清掃をおこない、口の中を清潔に保つことが必要です。
②歯科検診を受けましょう。年に1回は歯科検診を受け、専門家の視点で歯や口腔の状態を確認してもらいましょう。自分では取り除けない歯垢や歯石の除去や、疾患が見つかれば治療を必ず受けることが大切です。
なお、当会では、保健師による歯や口腔の健康に関する教育活動もおこなっています。どうぞお気軽にご連絡ください。
新潟県労働衛生医学協会 健康づくり推進部 ℡370―1945