職場の受動喫煙防止対策
(一社)新潟県労働衛生医学協会
健康づくり推進部 保健師 宗村 綾香
平成26年に労働安全衛生法の一部改正が公布され、この中で受動喫煙防止対策は、事業者の努力義務となりました。今回は、受動喫煙
防止対策の背景と取り組みについてお伝えいたします。
1 受動喫煙による健康被害の現状
受動喫煙とは、喫煙により生じた煙や、喫煙者が吐き出した煙を二次的に吸うことをいいます。国立がん研究センターが、職場における受動喫煙と死亡の関係を調査し、年間で3625人の方々が死亡されていると推計しています。
たばこの煙には、200種類以上の有害化学物質が含まれており、受動喫煙でも肺がんや脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが上昇することがわかっています。職場が禁煙に取り組むことにより、心筋梗塞などの心臓病で入院するリスクが約10%前後低下するという研究もあります。
2 日本の受動喫煙防止策
平成24年の国の調査によると、喫煙室の設置など受動喫煙対策に取り組んでいる事業所は、61・4%にとどまっています。
厚生労働省は、平成32年までに「受動喫煙のない職場の実現(ただし、喫煙室は容認)」を事業者に求めており、屋内全面禁煙化や、排気装置など「一定の要件を満たす」喫煙室の整備等の取り組みを推奨しています。
3 受動喫煙のない事業所を目指して
受動喫煙防止対策は、事業所全体で取り組むことが大切です。喫煙者、非喫煙者ともに、取り組みへの理解と協力が欠かせません。まずは、お互いにたばこに対する正しい知識を持つことが必要です。
その上で、喫煙される方は、喫煙しない方への健康被害を考え、指定の場所以外で吸わないことを守りましょう。そして、自身と周りの方々の健康のためにも、今回の法律の改正をきっかけに、禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。
また、喫煙されない方は受動喫煙を防ぐため、たばこの煙を避けることが大切です。
なお、当会では、禁煙外来や、保健師によるたばこに関する教育活動もおこなっています。どうぞお気軽にご連絡ください。
新潟県労働衛生医学協会 健康づくり推進部 ℡370―1945