医療コラム

大人の発達障害①

大人の発達障害①

新潟市中央区湖南21ー5(新潟市民病院前)  
新潟こころの発達クリニック 院長 遠藤太郎
日本精神神経学会専門医・精神保健指定医


 発達障害とは、生まれ持った発達のアンバランスさにより、日常生活に困難を来している状態を指します。代表的なものとしては、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害(ADHD) などが挙げられます。

 当クリニックは、児童思春期の発達に関する診療を中心に行っておりますが、それでも成人期の発達障害に関する相談が約2割と多くの比率を占めております。成人期の発達津障害とはいえ、成人期になってから障害を発症するのではなく、振り返ってみると幼少期から発達の特性にまつわる問題が見え隠れしているのですが、知的能力の高い方や、周囲のサポートがしっかりされてきた方々は、問題が顕在化されることなく成人期を迎え社会に出て行くことも珍しくありません。

 成人期になってから見えてくる問題としては、自閉症スペクトラム障害の場合は、「大学までの学業は問題なくこなせてきたが、就職活動になったら何をしていいか分からず、面接でも臨機応変な対応が出来ずに就職が決まらない。」、「同僚と協調したり、相談したりしながら仕事をこなすことが出来ない(大変そうな人の手助けをしたり、自分が困ったときに助けを求めたりすることが出来ない)。」、「融通が利かずに自分の考えるやり方に固執してしまう。」、「休憩時間に雑談が出来ずに周りとコ
ミュニケーションが取れない。」などがあります。
 

 次号に続く