医療コラム

うつ病について

うつ病について

新発田市住吉町4丁目8-26
しばた心と体クリニック  
院長 小河原克人
精神保健指定医・日本精神神経学会専門医

 職場で遭遇するこころの病気、今回は「うつ病」についでご紹介したいと思います。
 「うつ病」は良く聞く病気かと思いますが、残念ながら自分で病気になったとは気づかない事がほとんどです。
「抑うつ気分」や「意欲低下」等の症状が、ある一定の期間持続しているようであれば診断が可能ですが、「抑うつ気分」「意欲低下」と言われても、病気か否かを判定することは容易ではありません。
これらの症状をピックアップして、病院へつなげることはきわめて難しいと考えます。

 分かりやすい事象として、無断欠勤が続く、仕事のミスが多くなった、(体の病気も無いのに)食欲低下や体重減少が認められる等の問題があれば「うつ病」の可能性を考え、医療機関へ受診させるよう勧めることが大切と考えます。

 先に申し上げた通り、自分では病気と思っていませんから、多くの場合は受診を避ける傾向にあると思われます。
その場合には、不眠、食欲低下等の問題があると思われるため、それらの相談を契機に受診を促してあげるということも一つの工夫と考えられます。
寝付きが悪い、夜中に何回も目が覚める、朝起きても疲れが取れないなどの症状があれば不眠を疑って良いでしょう。

 また、これまでおいしく食べていたモノがおいしくない、食事を無理に押し込んで摂取している、食べてもすぐに満腹となり食が進まない、という症状があれば食欲低下と考えられます。

 春の時期は、職場内では人事異動、場合によっては引っ越し、家庭では子供達の進級などが重なりストレスフルの時期です。
物事を人任せに出来ず、仕事を自分で抱え込みやすいまじめな方がおられませんでしょうか?
これらの方々は要注意です。
 「うつ病」は適切な治療を行えば、完治(寛解)する病気です。症状が重くならないうちに、早めの医療機関への受診を心がけましょう。