震災を振り返って ― ③
有限会社ケンユウ 佐藤陽一
日本薬剤師会 認定薬剤師
認定実務実習指導薬剤師
私が石巻に入った5月は、すでに災害が発生してから約2ヶ月が経っており、配給、医療体制も比較的安定してきていると思われる時期でした。
避難者が望むものをすべて渡し、手を差し伸べる時期は過ぎ、避難者が通常の生活に戻るための手助けをする時期に来ていると考えられました。
臨時診療所では、医師の診察後、診療所で薬を渡すこともできましたが、患者自身で近隣の調剤薬局に行ってもらうことを勧め、今後は診療を再開しているかかりつけの開業医への受診を勧めるという形をとりました。
「ここでもらえないのか」と言われる患者さんもいましたが、できるだけ普通の生活にもどるようにと話をして理解を得ました。
避難所から通勤する人、学校へ通う子供達、避難所で寝たきりになっている年配者の姿を見ていると、何事もないことがいかに幸せなのか痛感しました。
震災から早2年が経過しましたが、被害を受けた人たちの生活は、震災後2ヶ月の頃とそう大きく変わっていないように感じています。
仮設住宅での生活を余儀なくされ、仕事も再開できずにいる被災者もまだ多くみられます。
我々が今できることは、国に対して被災者への支援を継続して呼びかけていくこと。
そして、ボランティアに直接参加することができない人達も、被災地の商品を購入していくことなどで間接的に地域を再活性化することができるのではないかと考えます。
また、社員が快くボランティア活動に参加できるよう、会社の経営者や組織幹部の方々の理解と協力も重要な事と思われます。 (終り)
2013年4月