風邪とインフルエンザ ①
本町通6アーケード内
ぷらっと本町ビル3階本町いとう内科クリニック
院長 伊藤 実
日本呼吸器学会認定 呼吸器科専門医
風邪は、のどや鼻へウイルスが感染することにより、様々な症状が出現する病気ですが、特にインフルエンザウイルスが原因の場合、症状が強く、重症化しやすいため、インフルエンザと呼んで区別します。
風邪ウイルスは、まず、のどや鼻に付着して増殖し、感染が成立すると、のどの痛み、鼻水、鼻閉、発熱、関節痛、頭痛などが出現し、奥の気管支にも炎症がおよぶと咳、痰が出るようになります。
発症早期、のどの違和感を感じた時すぐに良くうがいすると、その後の悪化を防ぐことができます。
風邪の症状はウイルスを排除するために出ます。
ウイルスは熱に弱いため、感染が成立すると、体温の設定を高くし、悪寒、戦慄後、急に高熱が出るのです。
のどや鼻にはウイルスを退治するための免疫細胞が集まってきて、戦った結果、炎症を起こし、のどが腫れて痛みが出現し、鼻水とともにウイルスを外に排除します。気管支に炎症が及ぶと、咳をして、痰とともにウイルスを外に出そうとします。
通常の風邪には、有効な抗ウイルス薬がないため、このように自分自身の免疫反応で自然に治すしかありません。
この時、ウイルスと戦うためには十分な栄養と休息が必要となります。38℃以上の高熱が出るとつらいだけでなく、脳などの臓器にダメージがあるため、解熱剤で熱を下げますが、自然治癒力を弱めてしまわないよう、必要最低限にとどめるようにします。
また、脱水にならないよう、十分な水分を摂取することも重要です。
発症早期の痰がらみの咳に対し、咳を止めようとすると治りづらくなってしまうため、好ましくありません。風邪症状が1週間以上続く場合は、他の病気の可能性があります。
次回は、主にインフルエンザ対策について説明します。
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