スウェーデンからの贈り物 ~ タクティールケア ④~
医療法人新成医会 総合リハビリテーションセンター みどり病院
JSCIシルヴィアホーム認知症緩和ケア・介護教育研修センター
インストラクター リーダー 木本明恵
前回の「タクティールケアがもたらしてくれるもの」のなかで、タクティールケアを行なうことで、安心や穏やかな気分になって痛みを和らげることができます、とお話しました。
タクティールケアの効果については明確に示されたものはまだ多くはありません。
しかし、タクティールケアを受けた方からは、身体がポカポカした、よく眠れた、体が軽くなった、というお話をよく聞きます。
認知症高齢者へタクティールケアを6週間継続した実証研究の報告では、認知症のために記憶が障害されていても、タクティールケアのことを覚えて待っている高齢者がいました。
心地よい感覚は記憶の中に残されているということではないでしょうか。
他にも認知症高齢者へタクティールケアを継続的に行うと、自分自身の身体の認識や自己意識の向上、認知症によるさまざまな症状を和らげることができた、という報告もあります。
タクティールケアを取り入れているみどり病院では、認知症の方へ必要な時にタクティールケアを実施しています。
例えば、不安や不眠などの症状がある時に合わせて行っています。
認知症の方にタクティールケアを行うときには、初めに「タクティールケアを受け入れてもらえるか」を観察する必要があります。
すべての認知症の方に適用できるかというとそうではないからです。
「タクティールケアをさせてください。」ということを、言葉や直接認知症の方の手などに触れながら確認して始めることが大切です。
(注) 「タクティール」はJSCI日本スウェーデン福祉研究所の登録商標です。
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