医療コラム

白内障 後半

白内障 後半

いかい眼科 院長 井海雄介
(新潟市中央区田町 済生会新潟病院跡地)
㈳日本眼科学会認定 眼科専門医 

 

今回は白内障の治療について説明します。

 

白内障の治療は、おおまかに2種類に分類されます。点眼薬などによる保存的な治療と、手術による外科的治療になります。白内障がそれほど進行した状態ではなく、自覚的にも今のままで不自由ない状態であれば、進行予防のための点眼薬を処方し、定期的に経過観察をして視力検査などを続けることになります。そして、適切な時期が来れば手術も考慮することになります。しかし、視力低下が著しい、進行してしまっている白内障に対しては手術的治療が必要となります。手術の適応の時期に関しては、以前よりいろいろな考え方がありました。全然見えなくなってから初めて手術を考えたほうがいい、と言われていたこともありましたが、進行した白内障は手術が非常に難しく、合併症の起きる可能性も高くなります。

 

そのため、あまり進行していない、まだ手術が難しくならない時期に手術をやってしまうのも、手術の安全性の面からは勧められると思っています。また、どのぐらいの視力に下がったら手術の時期ですか?とよく患者さんに聞かれるのですが、御自身で見えにくさを感じ始め、このままでは不自由だと感じたら手術を考えましょう、とお答えしています。また手術後に遠くが見えるようにしたいのか、近くが見えるようにしたいのか、など、希望に応じて、眼の中に置いてくる眼内レンズの度数を調節したりもします。いずれにしても、患者さんがどの程度困っているのかを話し合い、患者さんとよく相談したうえで手術に向かうようにしています。

 

最後になりますが、白内障だけに限らず、ドライアイ、緑内障、加齢黄斑変性症、網膜はく離など、加齢により、さまざまな眼の病気が出てきます。眼が見えないと、日常生活が楽しくなくなりますし、眼の健康は生活の質の改善につながります。なにかお困りのことがあればお近くの眼科を受診していただき気軽にご相談ください。